今日は、ととさん の誕生日で、四十九日法要の日でした。

前日まで天気が悪かったのですが、さすが晴れ男の ととさん。
見事に晴れました。

今朝も、ととさん の夢を見ました。
ととさん が「お願いだから、いい加減ベソベソ泣かないでね。お願いだから」
と言われました。
昨晩、ととさん のお骨を抱いてお話ししたからでしょうか。

母と兄と三人で、霊園事務所を訪ねて、
書類等の手続きをしていると、兄が私の名前を連呼して呼んでおります。
「何?」と行くと、兄が指差す方向に
宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」の直筆コピーが飾られておりました。
思わず兄の肩に顔を埋めて、泣き笑いしました。

前にも書きましたが、
5年以上前に、兄の店に来ていたお客さんに本を貸したところ
そのまま来店することもなく、返してもらえなかった本がありました。
ととさんが亡くなる前日に、その本が5年ぶりに
紙袋に入って店のドアノブに掛けられて、返却されたそうです。
貸したことすら忘れていたのに、久しぶりに読んでみると、
人の生死に関わる内容の本であったため、
翌日に ととさん が危篤状態になり、あの世に旅立った時も
冷静でいられたそうです。

その本は「同じ月を見ている」という題名の漫画で、
私にも貸してくれて、すぐに読みました。
漫画の一番最後は、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の詩で締めくくられていたのです。

何回もこの霊園事務所を訪れているのに、
まったく気が付かず、しかも今日兄が見つけて、
二人で、もう一度その詩を読みました。

「こんな偶然って、あるの?」って、また言いました。
すると兄が「もう、いい加減気持ちが悪いから、やめてね」と苦笑いし始めました。

お骨を収めるときも、不思議と穏やかでいられました。
一区切りついたんだと思います。
ととさん の言う通り、もうベソベソせずに、日々元気よく過ごしていきたいと思います。

「雨ニモマケズ」


雨にも負けず 風にも負けず

雪にも夏の暑さにも負けぬ

丈夫なからだをもち

慾はなく 決して怒らず いつも静かに笑っている


一日に玄米四合と 味噌と少しの野菜を食べ

あらゆることを自分を勘定に入れずに

よく見聞きし分かり そして忘れず

野原の松の林の陰の 小さな萱ぶきの小屋にいて


東に病気の子供あれば 行って看病してやり

西に疲れた母あれば 行ってその稲の束を負い

南に死にそうな人あれば 行ってこわがらなくてもいいといい

北に喧嘩や訴訟があれば つまらないからやめろといい

日照りの時は涙を流し 寒さの夏はおろおろ歩き

みんなにでくのぼーと呼ばれ

褒められもせず 苦にもされず

そういうものに わたしはなりたい

『忘れない』