ひねもすミシン

人生日々ぶつかり稽古 洋裁作品をUPしています。 他に旅行記や闘病記なども。

2012年03月

ととさんの目が開いた

ととさんの葬儀が無事にすみました。
やっとお家に帰ってきた ととさんです。

ととさんの生前の希望が『白木の祭壇ではくて、花祭壇でやること』
『死装束だけは着たくない』などあり、
探した斎場が、その条件をクリアーできたので、決めました。

お彼岸前に亡くなったので、斎場・火葬場の確保が難しく
平日の日程になってしまいました。
しかしながら、たくさんの方がお別れに来てくれて
とてもうれしかったです。

父に会いに、5日間斎場へ通いながら
祭壇準備や、メモリアルコーナーの準備などに追われておりました。

その間も親戚筋より、葬儀のやり方についてのクレーム等が多数寄せられ、
家族側の意見よりも、本家のやり方を優先しなければならない事も出てきて
コディネーターの方が、かなり苦労しながら、両方の希望を叶えられるように
配慮してくださいました。

同じ室内に宿泊施設があるので、
ゆっくり ととさんとお別れが出来ました。
「来年の桜は見られない気がする」と言っていた ととさん。
本当に見らえなかったね。
花祭壇のメインに桜を入れてもらいました。
棺の父の真上に桜が咲くように、レイアウトしてもらいました。
通夜が終わった後に、ととさんに会いに行くと、
ととさんの片目が、半開きになっていました。

「ひぃー、ととさんの目が開いた」数日前より、
徐々に開き始めていましたが、今日はしっかり眼球らしきものまで見えます。
「そんなに桜が見たかったか。そんなにみんなに会いたかったか」と
笑い、ととさんの棺の横で花見をしました。

淡々と過ぎていく葬儀。
あまり涙が出なかったのですが、さすがに出棺前の
花入れの時には泣きました。

ととさんのお気に入りのものを棺に入れて、
お別れをするとき、思わず ととさんにすがりつき
顔を両手で抱き、オデコにオデコを付けました。
あの時と同じように。
ボロボロに泣いて、花を入れて、棺に入りきれないほどの
花を皆に入れてもらって、お別れしました。

荼毘にふされて、出てきて小さな骨。
真っ白い色で綺麗でした。
母は私の顔を見て「お父さんの骨、あんなに少なく・・・」と言って号泣しだし、
あまりに泣くので、母を両手で抱きしめました。

収骨する前に「お年の割には、お骨が残っておられますね」との
声をかけていただき「あらそう?」って思いました。

ととさん希望の「喉仏」がしっかり綺麗に残っておりました。
「やったね ととさん」と声を掛け、
滅多に残らないという、第一頸椎も残っており、何より驚いたのは、
両耳周辺の骨が残っており、穴がぽっかり開いておりました。
「ととさん、そんなに話を聞きたかったの?」と言うと、
皆が笑い出しました。

骨壺を兄がしっかりと抱き、家に連れて帰りました。
「おとうさん、お家だよ」

後飾りの段に、ととさんがいます。
納骨までに、やらなければならない手続きなどもたくさんあります。
まだ、病院に入院しているような気がして、
遺影を見ても、骨壺を見ても、実感がありません。

母と会話していても、いつもなら、ここで ととさんが突っ込んでくる
会話のリズムも、一方通行なことがあり、
違和感があります。
家にある、ととさんの洋服からは、まだ ととさんの匂いがします。

『違和感は時間が解決するらしい』

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ととさんの目線で見る桜

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メモリアルコーナーでは、飛行機も展示

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あれ?ととさん?

告別式の準備

あと数日で、ととさんの葬儀を執り行います。
それまでは、毎日斎場へ面会に通っています。

ととさんには、エンバーミング処置をしてもらいました。
告別式を出すまでに、一週間かかることや、
やせ細ってしまった顔や身体を、すこしでも
元気な頃の姿に戻してあげたかったからです。

斎場に着いたときに、一旦控室へ通され、
もう一度、家族でゆっくりお別れをする時間を
頂きました。

顔や手、足などは冷たくなっていましたが、
首などは、まだ体温が残っており、
ととさんの首に手をまわして、しばらくその温もりを感じておりました。

翌日、処置が終わった ととさんに面会に行きましたが、
入院する前の、ととさんになっており、
着せてあげたかった、正月用の着物のアンサンブルを
粋に着ている ととさんを見て、再び泣き崩れてしまいました。

この処置には、色々な意見があり、
反対する人もいるかもしれません。
火葬にするので、無駄な処置だと言う方もおられます。

もともと安らかな顔で逝った ととさん。
処置をしたおかげで
口元に微笑みを浮かべ、照れ笑いしているような顔になり、
メガネをかけてあげたら、今にも起きそうな感じになり、
「ととさん、起きるなら今のうちだよ」と声をかけたほどで、
残された私たちに、安らぎさえ与えてくれました。

葬儀の準備ですが、
親戚筋との連携がうまく取れず、なかなか上手くことが運びません。
思い込みと、思い違いとでもいいましょうか。
それに輪をかけて、
葬儀の仕方が、あまりにもオリジナル過ぎたようで、
保守的な方々の反発を受け、かなり辛い思いもしましたが、
なんとか、形になりつつあります。

生前のととさんの姿を集めた写真を
年代順に並べスキャンし、近年撮ったデジカメのデータなども加工し
ムービーメーカでスライドを作り、BGMもつけてみました。

モニターに映し出せるか、試してみましたが、
まぁ、まぁの出来になりました。

後悔だけはしたくないので、しっかりと準備をして
送り出してやりたいと思います。

『人生最後の花道だもんな』

西の方角へ向かった

一週間前、ととさんが急に言いだした。
「お母さんに報告して。西の方角へ向かったって。報告して」と
何度も言われた。
「西の方角?報告?」と聞き返すと
何度も同じことを言った。

勤務中に
「お父さんの様態が急変したって連絡があった」と母が震える声で
携帯に連絡が入った。
急いで帰り支度をして病院に駆け付けた。
ととさんが起きていて「お兄ちゃんが来るから、今すぐ来るからここから動くな!」と声を
かけて手を握った。

モニターに心拍数と脈拍、呼吸数などが波打っていたが
心拍数にかなりの乱れがあった。
兄が到着して、その後叔母も到着。
医師の方からは、持って今日明日、長くても今週中との話があり、
看護師さんが入室するたびに、数値の下がっている状況を説明された。

ととさんの手を握りながら、思いで話しが出始め
笑い声が絶えなかった。
ととさん伝説を話しながら、兄と大笑いしていると、
病室に面会に来てくれた方がいた。

数十年前まで隣に住んでいた方が、
入院しているという話しを人づてに聞いて、お見舞いに来てくれたのだ。
家族全員がそろい、死期が近いことを聞き
かなり動揺されていたが、よかったら会ってやってほしいと
お願いしたところ、ととさんの手を取り話しかけると、
ととさんが、ニッコリと微笑んだのだ。

廊下に出て、しばらくぶりなので話している内に、
看護師さんの方から「お話したいようなので、聞いてあげてください。
ちゃんと聞こえておられますので、話しかけてください」と言われ
あわてて室内に入り、見守ると、
ととさんが、涙を流していた。

「泣かなくていいからね」と涙をぬぐってやると、
舌が落ちくぼみ、言葉にならないのだが、母の顔を見て
「おかあさん」と言ったのは聞き取れた。

そのあとも数回、深い息をして
口を動かし会話するようにして、また涙を流した。
ととさんの顔を抱き、ととさんのオデコに私のオデコをあてて
「ととさん」とつぶやくと
モニター音が立て続けに鳴り響き「今旅立たれました」と看護師さんが言った。
驚いて顔を上げると、父の顔は安心しきったような顔だった。
すぐに退出するように促されて、葬儀場へ連絡した。

着替え終わった ととさんの顔には白い布が掛けられて、
殺風景な部屋にポツンと横たわっており、
ととさんが本当に逝ってしまったことを見て、号泣してしまった。

葬儀社の車に乗せて、自宅前を通ってもらい
葬議場へ直行する時、道路の真正面から夕陽が差し込み
ハッとして、思わず笑った。

「ととさん、夕日に向かって進んでいるよ。西の方角へ向かっているよ。
ととさんらしいなぁ。見える?夕日だよ」と
後ろにいる、ととさんに話しかけた。

さっき兄が言い残して帰った言葉を思い出した。
「親父は、本当にエンターティナーだよな。最後にご近所さんが来て
笑って見せるなんて」

そしてまた、夕日を浴びながら行くなんて、洒落た演出じゃないですか。
すごいです。ととさん。

本当にあなたの娘で、楽しかったよ。

3月16日 15:22 ととさんが逝きました。

『生き様と死に様を見せて逝く。親って本当にすごいです』

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バイバイ ととさん

これってもしかして

昨日は、ととさんの飲み仲間であり、仲良しのご近所さん達が

見舞いに来てくれたようだ。

「何、寝てるんだよ」と励ましの激を飛ばしてくれた

おじさん達に、眠りこけていた ととさんが、

自ら手を伸ばして握手したと聞いた。


今日も病室へ行くと、ととさんは眠っていた。

「ととさん、ただいま!今帰りました」と

耳元で声をかけると、目を見開き、口をモゴモゴとさせていた。


落ち着いてよく見ると、何かを話しているようだ。

目を半開きにして、キョロキョロしながら、

かすかに唇が動いている。


「ふん、ふん。そうだね。ふーん。大丈夫だよ」と声をかけた私。

昼過ぎから来ていた母が「わかるの?」と私に聞くので

口ぱくで『適当な返事』と言ったら、母が笑った。


それでも昨日よりは、反応があり、

首を掻いたり、手を動かしたりした。


そのうち私が居ることに慣れたのか、気が付いたのか、

口を頻繁に動かすので、ととさんに話しかけてみた。


「心配しなくても大丈夫だよ。ととさん。ゆっくり寝て」と言うと

口を歪ませて、何か痛たがっているようだった。

「なにどうした?」と声をかけると、口をモゴモゴさせたので

「ごめんね ととさん、何を言っているかわからないよ・・・」と言うと

急に腕をガバっと上げて、私の右頬に掌を当ててきた。

目を半開きして、閉じかけた目を一生懸命見開こうとして、

こちらを見て、口をモゴモゴさせている。


思わず、頬にあたっている父親の手に自分の掌を重ねて、

ぎゅーっと頬を押し当てた。

「なに?心配しないで。大丈夫だからね」と言うと

突然涙が出てきた。

泣いちゃいかん!と思いながらも

父の目から視線をそらすことができず、

気が付いたらボロボロ泣いており、涙が父親の肩口にボトボトと落ちた。

母がテッシュを渡してくれて、部屋を出て行った


なんだ、このドラマのようなシュチュエーションは・・・。

自分に唖然としながらも、なにか悪い夢でも見ているような

そんな気がして、まったく現実味がなかった。


父親の眉間にシワがより、父親も泣きそうな顔になっていたので、

笑って見せた。

「平気だよ」と言って、父親の手を布団に戻すと、

また手を伸ばしてきた。


私が落ち着いてきたので、笑い続けて話しかけた。


母が部屋に戻ってきて、帰ろうと促された。

面会時間の終わりに近い。

耳元に少し大きな声で「ととさん、また明日。帰るね」と声をかけたら

「ウゥーウゥゴォー」と子供がぐずる様な声をあげた。

ビックリした。意識がほとんどなくても、聞こえているし反応しているのだ。


「ごめん、ととさん。明日また、会おうね」と私も動揺して、

会おうってなんだ、その言葉。


帰り道、母から

「看護士さんが、そろそろ薬で眠らせるって、言うの。

会わせたい人がいませんかって聞かれた」というのだ。

苦痛を伴うからなのか、後は眠り続けて逝かせるというのだ。


と、いうことは「これって、ととさんと最後の別れだったようなもの」と

母の顔見たら、涙で霞んで見えなかった。

こんな時は、本当に役に立つよ、マスクってやつは。

『ごめんね』


 

旅支度

昨日は仕事休みだったので、一日ととさんについていた。
相変わらず支離滅裂な話や、一週間前に面会に来てくれた
叔父たちの話しを、突然思い出したのか
その話題に、涙しながら喜んでいた。

看護師さんから「処置をするので、一旦廊下に出てください」と言われたので、
一階下に降りていく途中に、主治医の先生に会った。
現状を聞きたかったので、矢継ぎ早に質問したが、
そのほとんどが、自分が思っている通りのことだったので、
「あぁ、そうですか」としか返せなかった。
「今できることは、苦しませないということが最優先です」

頭を下げることしかできなかった。

思ったより急激に肝臓と肺の腫瘍が大きくなって
他を圧迫しているようだ。
腹水もたまっていたが、薬剤で大半を流せたが、
今もまた、溜まりだしている。
肝臓がほとんど機能しなくなっており、黄疸が出始めた。
これに加え、胸水も溜まりだしたので、呼吸が楽にならない。

数日前から、目に黄疸が出始め、
呼吸も、溺れるような感じになっていたので、
もしやと思って聞いてみたが、おもっていた通りだった。

もごもご喋り、会話が聞き取れない時もあるが、
まだ受け答えはできるので、たまに大笑いすることもあった。

一転、今日は意識がなく眠り込んでいた。
母が面会に行った間も、意識が無く、話しかけても
手をさすっても、顔を撫でても起きなかったそうだ。

そんな話を聞いていたが、仕事帰りに寄ってみた。
「ととさん、きたよ」と言っても、足を揉んでも、頭を撫でても起きなかった。
物の見事に、大口を開けて寝ているのだ。
「ふむ・・・」とりあえず、イヤホンを片方耳に突っ込んで、
音楽を聞かせてみた。
もう片方を、自分の耳に入れ、曲を選んで一緒に聞いた。
たまに、曲の盛り上がりや、タイミングに
ピクピクと顔の筋肉が反応しているようだ。

「ほほぉ、聞こえておりますな」と手を揉みながら話しかけておりました。
一向に起きないので、帰ろうと思い、
耳元に向かって「ととさん、帰るからね。また明日」と言うと、
片目をガァッ!と見開きこちらを見たので、思わず

「ぎゃぁっ!!」と叫んでしまった。

しかしすぐに目を閉じて寝てしまった。

一人でケラケラと笑い、またととさんに悪戯されたようだ。
無意識でも、凄いお人。

母は、せっせと ととさん の旅支度をしている。
キャリーケースに思い出を一杯詰め込んでいる。

『明日はどうかな』

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