ひねもすミシン

人生日々ぶつかり稽古 洋裁作品をUPしています。 他に旅行記や闘病記なども。

2006年06月

麻酔からさめて

「じゃ、いきましょうか」と看護士さんに言われて
父親と一緒に手術室へ移動した。

古い病院なので、手術室への長い廊下などはなく、
エレベーターを降りたら、すぐに手術室への自動ドアがあるだけだった。
父親の名前を確認し、なおかつ父親に自分の名前を言わせていた。

父の手を握り
「お父さん、待っているからね。頑張って、待ってるよ」というと
父は何も言わず、自分が入る手術室の奥を見据えていた。

別の部屋でひたすら待つ時間。
叔母が来ていてくれたので、しばらくは世間話をしていた。
しかし予定の時間を過ぎても一向に迎えが来ない。
予定を1時間・2時間と過ぎ、母親がウロウロし始めた。
空を見ると、薄曇の空に、
一筋だけ、長い空の切れ目のような光る雲があった。
まるで、あの世への入り口のような気がしてならなかった。

『お父さん、そこに行っちゃ駄目だよ。戻ってくるんだよ』
心臓が弱い父親がこの長い時間耐えられるか心配だった。
どんな事になってもいいから、目を開けた父親に
会わせてくれと、願い続けた。

予定時刻を3時間過ぎた頃に
看護士さんが迎えに着て、手術室へ行くと
ベットに寝かされた父親が出てきた。
目を開けている。血の気がない白い顔。
しかし呼ぶと、大きく頷き答える。
冷たい手を握ると、ギュッと握り返してきた。
私の体温で、冷たい父親の手が暖かくなってきた。

翌日父の処へ行くと、酸素マスクを外されていた。
麻酔の後遺症で
変な夢をごちゃごちゃと見るから疲れると言っていた。
それがまぁー、貧乏臭い夢ばかりで笑ってしまった。


手を動かし、何かを掻き集めているようなので
手を握り「どうした?」と聞けば
「新聞が散らばっているから片付けている」だの

・テーブルの上に、飲みかけのコップが沢山並んでいるから気になる
・カーテンレールの淵に、洋服が沢山かかっているので気になる
・ドーナツが落ちているので、穴に指を通したいのだが、通せない。
・缶ビールの缶が落ちているのが気に入らない

等、なんじゃそりゃということを
うわごとのように言うので、笑ってしまって看病が出来ない。

しかし病室ではなく、家にいるような気がしているらしく、
しきりに引き出しに入っているアレを取れ、コレを取れというので
それは困ってしまった。

実は、父親は手術中大きな課題を残してしまった。
コレで全て終わりではなく、コレが全ての始まりになった。

『長期戦』

もう少し落ち着いたら、父の闘病日記を始めようかと思う。


父、縫いぐるみになる

いよいよ明日は、父親の手術日である。

担当医の説明を聞きました。
実に話し上手な先生で、素人にはわかりにくいような
体の症状を、判りやすいたとえで、
ノートに書いた人体図を交えながら説明してくださいました。

質問事項は?と聞かれたので、
ネットで調べたことを色々とぶつけたところ、
「詳しいですね?ネットで調べたのかな?」と図星。

「えぇ、調べまくりました」と答え、威圧感を。


どの位置から腹を切るのか聞くと、図で示してくれましたが、
間違えなく、父親は縫いぐるみになります。

こうなったら、先生にお任せするしかありません。
まな板の上の鯉状態です。
でも、鯉だって滝を登って竜になるんですから!!

励ましのメールやカキコを沢山頂きました。
本当にありがとうございました。
皆さんのアドバイスどおり、ほどほどに力を抜いて
細く長く看病にいそしみます。

『私が布団針で縫ってやる』

大人気ない

会社から帰り、
地下鉄の改札に近づくと、電車がホームに滑り込んでくる
音と気配が。

小走りに走り出すと、
小学校低学年くらいの男の子も
私と一緒に走り出した。

改札を同時に抜けると、ピンポンっとなり
ゲートが開く。
各馬一斉にスタート!

どうやら帰る方面の電車が来たようだ。
階段を駆け下りると、隣には小学生。

ちきしょぉー!負けてたまるかぁー!!
ディープゥーインパクトォー!!!

同時に電車に飛び乗った!

『私に勝とうなんて、10万年早いわぃ! 』

普通の日常

父親が月曜日に、いよいよ外科病棟に移る。

その前に、また土日で病院から仮出所してきた。
父親が食べたいと言っていた、鰻を買って帰り、
玄関を開けると、いつもの父親の定位置から
「お帰り?」の声。
普通にしゃべって、普通に食事していると、
ここ数日間の職場→病院→帰宅という生活が
まるで現実味のないものに思えて。

父親の一連の検査結果の話を改めてしたり、
私の知らない細かな検査結果を聞く限り、
まったく健康そのものなのだ。
検査技師さんや、看護士さんも
「まったく問題ないですよ」なんて
よく声をかけてくれたらしいい。

家に帰っても、よくしゃべり、よく笑い、
よく食べるので、父親が腹に爆弾を抱えているとは
信じられないのだ。

今日は父親と一緒に、馬券場へ行った。
入院する前に当てた券を、変えにいったのだ。
初めて換金させてもらったのだが、
父親に出てきた札を見せると、
すばやくひったくって行った。
今までみたこともないような、早業だったので
腹を抱えて笑っていると、父親もニカニカ笑って声を上げた。

『オヤジ!もう一勝負やろうぜ!』

e996c1ae.jpg

父親が『トライボール』を実施中。
手術後の呼吸機能の早期回復と肺合併症の予防を目的とした
呼吸練習機らしい。吸って吐いてをして、ボールを
上下にあげるのである。

大きな違い

昨日の検査は遅れに遅れ、昼過ぎには終わっているかと思ったら、
なんと夕方にようやく検査が始まった。

その間、まる一日絶食状態だった父。
検査から帰ってきたら、車椅子に乗っていた。
そのままお風呂に入りたいと、しばらくお風呂の準備が
出来るまで、ベットで待機していた。

きっと腹っぺらしだろうと、キャラメルと飴、
スポーツドリンクを買っておいたので
「食べてみる?」と聞くと
「いいの?」とうれしそうに言うので、
口に入れてあげたら、もぉー子供のようにうれしそうに
食べるので、思わず涙が出そうになった。

「だってー、ずぅーっと禁欲だったからぁー」
思いっきり叩いた。
「禁食!」

「あぁ、そうそう、禁食!禁食!」

お風呂に行っている間に、待望の夕食が運ばれてきたが
普通食だった。
腹がからっぽなのに、いきなりこんなに食べて平気なのか?
帰ってきた父親が、むさぼるように食べてました。

肝心の検査結果ですが、
ここまできたらやるしかないという状態ですね。

『禁違い』
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