水曜日に、父親が4回目の抗がん剤治療のために入院した。
病院に送った帰り、突然の寒気が襲った。

なんか調子が悪いみたいと寝ていると、
母親が一言「お父さんにうつさないでね。命取りだから」と
冗談のような本気でそんなことを言った。
肺炎にでもなったら、本当にヤバイので、
素直に「はい、すみません」とあやまり、
翌日の朝、大事を取って会社を休んだ。
しかし人間、甘やかすと付け上がるもので
風邪の勢力が増した。

父親が帰ってきた金曜日には、風邪の悪化のため
早退して寝ていたのだが、母親から小言を貰い、
自分から部屋に布団をひいて引きこもってみた。

「ご飯ができた」と言われて起き、襖を開けると
母親が、ご飯をアルミのお盆に乗せて立っていた。
「へっ?出られないの?」
と聞くと「直るまで出るな」と言われ食事を渡された。

抗がん剤治療後なので、免疫が下がっている父親に近づくなと
部屋から一歩も出してもらえない。
「三連休は部屋から出るな」と言われて凹んでおります。
最初は「こりゃぁ、楽だわい」と思っていたが、
本当に寝ているしかなく、しかも閉ざされた空間。
飯がただ運ばれてくるだけ。
なんともわびしい。
これじゃブロイラーだ。

早く部屋から出てぇー。

『正月太りに風邪太り』