外来でポートを埋め込んだ傷口の抜糸をした。

右鎖骨下にポートを入れた父親。
1回目の抗がん剤治療を終えて、家に帰ってきて
着替えたところ、右胸全体に内出血による青アザができていた。

「執刀による内出血で、抗がん剤が漏れたのではないと思うよ」
と言うも心配げな顔。
外出して、人込みの中で肩がぶつかったら痛いのでは?
なにかガードした方がいいのではと、色々心配するので、
経験者の方の話を聞かせると、少し落ち着いてきた。

今日の外来診察時、抜糸するときにアザに付いて聞いてみると、
これは執刀時による内出血で心配ないと言われたそうです。
しかし、今更ながらに聞いた、肺と肝臓の転移について
「なんでも一番大きくても1cmくらいはあるそうだよ」
と言ってガッカリした様子。

そんなときに母親の一言で一瞬にして笑いへと変わった。

母:「お父さんの胸に入った 金物は・・・」

「かっ、金物!!」と私が言うと、父が大きな声で
「せめて、金属といってよ。金物じゃ、磁石も付かなさそう」

すると母が「磁石を付けてもいいの?」と言うので
「なんで!磁石付けてなにするの!」
「やめてよそんなこと!」と父親が慌てふためいた。

「いや、付くのかなぁ・・・」
「それは例えだから!金物じゃ付かなさそうな響きって例えだから」

そうじゃなくてと母が口を尖がらせて
「なんていうの、その金物」
「だから、ポートだって」と私が言うも
「金属でいいよ」と父親がケラケラと笑った。

金属探知機に引っかかるのか?

『正式別名:金物』