父親の誕生日が近いので、前から計画していた事を実行した。

母親が携帯が欲しいというので、買ってあげてから
かれこれ1年半がたつ。
それなりに使いこなしているようだが、
自分の電話番号を表示させることが出来なくて、
せっかく携帯番号を聞かれても、答えることが出来ず、
お友達が増えないようで、笑っちゃうのである。
そのたびに教えているんだけどね。

しかし親が携帯を持つと、何かと便利だし
なんと言っても安心感がある。
ぷらっと出たまま帰ってこない時など、
電話ひとつで、安心できるのだから。
(まったく、どっちが保護者だか)

近年、父親の趣味に、散歩というものが増えた。
仕事が半分になったというのもあるが、
昼間ふらりと出かけて行き、今話題のスポットというところに、
水筒を斜め掛けにして、ポテポテと出かけてくるらしいのだ。
まだ私ですら行ったことが無いところへ。
「あっそう、行ったこと無いの」と自慢げに話すのだ。

そんな父親には、発信機でもつけた方がいいのかもしれないが、
とりあえず、安全面を考え、携帯を持たせることにした。
ありがた迷惑だろうけど、誕生日プレゼントとさせてもらった。

ちょっと早めに仕事を終わらせ、某電気店へ。
店員さんに「親が使います。カメラなんていりません。キーが大きくて、
とにかく文字が大きいもの」と言って選んでもらうも、
いまじゃ、カメラは必ず付いているもので、文字も差ほど大きくはない。
キーにいたっては、どれもこれも小さいものばかり。

やはりご年配の方向けにはできていないようだ。
文字サイズを大きくすることはできたが、
着信履歴や、アドレスの一覧はやはり小さく、
目の悪い、指が太い父親が使いこなせるか、ちょっと不安になった。
自分の安心感のために、父に苦労をかけそうだが、
やはり無いよりあったほうがいいので、
頑張ってもうらことにした。
何でもかんでも、便利になってきたけれど、
かえって手間になっているような気がしてならない。
ボタンひとつで、ご飯が炊けたり、
ボタンひとつで、洗濯ができた時の方がよかったような気がする。

それにしても、私でさえ、カメラ付携帯をもっていないのに!

『父、いまだ帰らず』