今年も会えなかった。
家にある雛人形は、
ガラスケースの中に入っている。
三人官女までしかいない、こじんまりとしたものだが、
保育園に通いだし、世間ではひな祭りというものがあると知り、
無言の欲しいぃー光線を出したようで、
ひな祭りの数日前に、両親が買ってくれたのだ。
もちろん自分で雛人形を選んだ。
しかし母が三人官女の一人の歯が嫌いだといい
却下され、結局母の好きなものに決まったような記憶がある。
ダンボールからケースごと出して、ケースごとダンボールに仕舞う。
ダンボールのおき場所は、箪笥の上だった。
毎年早めに出して、その日のうち、もしくは翌日には
必ず仕舞っていた。
そう、いつまでも出していると行き送れるからだ。
ご存知の通り、出さないだけでも行き送れる。
しかし昨今、両親が歳をとり、箪笥の上から
ダンボールを下ろす作業が難儀となり、
ここ数年、仕舞われっぱなしの私の雛人形。
どうやっても、私が嫁に行かないから
いい加減あきらめたのか、出しやしないし、
出そうという話題すら上がらない。
挙句の果てに、雛人形の存在すら
忘れているようだ。
昨日家に帰ると、子供の頃におばあちゃんに貰った
ひな祭りのレコードジャケットが見開きで置いてあった。
「どうしたのこれ?」と母に聞くと。
「今年も出さないから、これでいいかと思って」
ただの不精だと悟った。
『幾つになっても雛あられ』
家にある雛人形は、
ガラスケースの中に入っている。
三人官女までしかいない、こじんまりとしたものだが、
保育園に通いだし、世間ではひな祭りというものがあると知り、
無言の欲しいぃー光線を出したようで、
ひな祭りの数日前に、両親が買ってくれたのだ。
もちろん自分で雛人形を選んだ。
しかし母が三人官女の一人の歯が嫌いだといい
却下され、結局母の好きなものに決まったような記憶がある。
ダンボールからケースごと出して、ケースごとダンボールに仕舞う。
ダンボールのおき場所は、箪笥の上だった。
毎年早めに出して、その日のうち、もしくは翌日には
必ず仕舞っていた。
そう、いつまでも出していると行き送れるからだ。
ご存知の通り、出さないだけでも行き送れる。
しかし昨今、両親が歳をとり、箪笥の上から
ダンボールを下ろす作業が難儀となり、
ここ数年、仕舞われっぱなしの私の雛人形。
どうやっても、私が嫁に行かないから
いい加減あきらめたのか、出しやしないし、
出そうという話題すら上がらない。
挙句の果てに、雛人形の存在すら
忘れているようだ。
昨日家に帰ると、子供の頃におばあちゃんに貰った
ひな祭りのレコードジャケットが見開きで置いてあった。
「どうしたのこれ?」と母に聞くと。
「今年も出さないから、これでいいかと思って」
ただの不精だと悟った。
『幾つになっても雛あられ』